2017年度組織学会高宮賞 受賞者・著書部門挨拶

2017年度組織学会高宮賞 受賞挨拶


-著書部門-


『ジェネラル・パーパス・テクノロジーのイノベーション:半導体レーザーの技術進化の日米比較』

(有斐閣)


一橋大学 清水 洋


このたびは高宮賞を賜りましたことを、本当に感謝しております。『ジェネラル・パーパス・テクノロジーのイノベーション:半導体レーザーの技術進化の日米比較』は、私の博士論文やそこから派生した研究をもう一度まとめ直したものです。この研究は、2003年頃からスタートしたものです。長い時間がかかった研究です。そこでは大変に多くの方々のお世話になりました。お世話になった方々は本当に多いため、皆様のお名前を出すことはできませんが、その中でも一橋大学では米倉誠一郎先生に大変お世話になりました。先生の強力な後押しとその後のサポートがなければ、私は留学もしていなかったでしょうし、このような博士論文も書き上げることはできなかったと思います。本当に感謝しています。多くの科学者やエンジニア、企業家の方々に聞き取り調査に協力していただきました。そこでは、世界のトップと一日を争うプライオリティ競争とそれにより「世界が変わる」という実感は、時間がたっても色褪せることなく、お話を聞いているこちらまで興奮するものでした。

本書は、ジェネラル・パーパス・テクノロジーと呼ばれる極めて汎用性の高い技術におけるイノベーションがどのように生み出されていくのかを、スピンアウトに注目して分析したものです。具体的には、日本とアメリカにおける半導体レーザーの技術の進化をケースとして取り扱っています。日本とアメリカでほぼ同時期に研究開発がスタートした半導体レーザーですが、徐々に日本企業が大きな成果を上げていきました。一見すると日本企業が競争力を構築していった領域のように見えますが、実際には多くのサブマーケットが開拓されたのはアメリカでした。アメリカではスピンアウトが多く見られるようになり、彼らがサブマーケットを開拓していったのです。しかし、彼らがサブマーケットを開拓するためにスピンアウトすることにより、既存企業のそれまでの研究開発プロジェクトの生産性は低くなります。本書では、スピンアウトが活発になるような社会制度が整備されるほど、汎用性の高い技術の成熟は低い水準にとどまることを議論しています。つまり、イノベーションの源泉と考えられていたスピンアウトは、ジェネラル・パーパス・テクノロジーの進化を阻害する可能性があると本書では議論しました。長い時間の幅をとり、そこでどのように人々は動くのかということをできるだけ丹念に追ったつもりです。ぜひ、ご一読頂ければ幸いです。

高宮賞は、「若手研究者による組織科学研究を奨励するために」と記されています。奨励賞ですので、もっとがんばりなさいと言っていただいたものだと思います。本研究を深く分析していくとともに、新しいプロジェクトも進めております。この高宮賞にふさわしいような研究を進めていければと思っております。今後ともよろしくお願いいたします。

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